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タイトル | 吉永さん家のガーゴイル12 |
| 著者 | 田口仙年堂 | |
| イラスト | 日向悠二 | |
| 出版 | ファミ通 | |
| 発売日 | 2007年4月 |
| 執筆者:jade | 評価:A |
| お互いに意識し合っていながらも、なかなか進展しない和己と桃。 微妙な距離を詰められないまま、卒業が間近に迫ったある日、価値観の相違から喧嘩をしてしまう二人。 そんな折、林吾・桃兄妹の幼なじみであり、和己の友人でもある範太が、溢れる想いを押さえきれず、桃を抱き寄せる姿を和己は目の辺りにしてしまう。 そして、この事件をきっかけに、中途半端だった二人の関係に決着をつけるときが訪れる─── 大好評ハートフルコメディ第12弾。 あらすじからわかるように、今回は和己と桃の恋愛が物語の中心になっています。 これまでのガーゴイルシリーズは、友情や家族愛をテーマにすることが多く、恋愛に焦点を当てたのは喜一郎とユキの悲恋を描いた9〜10巻くらいなもの。 それにしたって、喜一郎が味わった絶望と戦争の悲惨を描くためのスパイス的要素が強かったので、恋愛を前面に押し出したのは、今回が実質初めてと言っていいでしょう。 その10巻ですが、シリーズで唯一“S”評価を付けた巻ではあるのですが、ほのぼのとした中にも温かい涙をもたらす良質なハートフルストーリーにあって、現実の冷たさをまざまざと見せ付けた異質な存在であるのもまた事実。 一つの作品としての評価は多少劣りますが、思春期の甘酸っぱい恋愛を描いた今回の方が、ガーゴイルらしくて、個人的には好きですね。 恋愛初心者同士、それもシャイな二人の恋を描いているので、大きな感動を生み出すような劇的な恋愛絵巻にはなりえないのですが、二人らしさがにじみ出た微笑ましいラストには、心が温かくなりました。 やはりここまで巻数を重ねてくると、キャラに対して思い入れが出てきますから、オーソドックスな恋愛話でも、十二分に楽しめるんですよね もしも、今回の話を2,3巻辺りに持ってきていたならば、ここまで高い評価を与えることは絶対になかったので、12巻まで、この手の話をほとんど描いてこなかったことが、最大の勝因と言えるかもしれませんね。 子供を主役に据えた作品は、どうしても大人に対する描写がおざなりになりがちですが、この作品は、老若男女を問わず、キャラの内面まで深く掘り下げています。 それによって、物語に様々な彩りを与えているのですが、今回で言えば、範太の師匠・チャックが良い例。 自らが犯した過ちと同じ道を辿る範太の姿を見て、和己に自らの過去を語り、子供たちを正しき道へと導く理想の大人像を描く反面、百式にもう一つの過ちを暴かれ、惨めなくらい怯える弱さを描くことによって、どんなに素晴らしい大人であっても、間違えることのない絶対の存在ではないことを示しています。 大人と子供を分け隔てることなく一人の人間として描き、説教臭くならない程度に人生の訓示を与えるところが、シリーズを通して言える、最大の長所だと私は思っています。 登場する人物一人一人を丁寧に描くことによって、キャラに対する感情移入を促し、物語に惹き込んでいく。 これが、田口仙年堂氏が描く作品の最大の魅力でしょう。 壮大な物語ではないけれど、ちょっぴり泣ける心温まる物語は毎回確実に期待できるので、ハートウォーミングな話が好きな人には、自信を持ってオススメできる作品です。 12巻も刊行されているので、手を出しにくいかもしれませんが、1巻から十分に楽しめるクオリティにあるので、未読の方はお試しあれ。 |
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